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幸福も過ぎ去るが、苦しみもまた過ぎ去る。
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苦痛に対処する時にそれが抽象化される点について。

たとえば、目が痛いというときに、いつも通り夕食をとった後でお腹もいつも通り膨れているにも関わらず、何か食べたいと思ってしまうこと。
食べている間の喜びというのは身体とは別に脳も感じるもので、お腹が減っていなくとも食べ始めると食欲が湧いてくる…というのは抑圧していた身体の声が聴こえてくることで別の話で、お腹が膨れていてもまだ箸が進むのは「摂食行為に浸っていたい」という脳の欲求ゆえかと思う(しかしこれも「いったん手に取った箸は動かし続けるという惰性」のせいかもしれないが)。
苦痛の発生源とは別領域で快楽を発生させてなんとかしようとするのは、もしかすると当たり前なのかもしれないが、だから本質を捉え切れていないからいつも失敗するという認識はネガティブに過ぎるのかもしれないが、失敗した時は(前段のないところから、あるいは必要以上に快楽を生み出すから後でそれが苦痛となって戻ってくるために)泥沼に陥ることは少し冷静に考えれば気付ける。
上の例でいえば目の痛さに食べ過ぎが相まって「泣きっ面に腹痛」ということになる。

そこで冷静に考えるというときに、しかし求めたいのは快楽であることに変わりはないのだから、「長期的な快楽」(長い目で見た時の快い状態の積分値)についてなんとか想像を巡らせてみる。
今は大きなマイナスがひとつあって、別件でプラスをもってくることも可能だがそれが反転してマイナスになるリスクもあって、しかし「大きなマイナス」がどう推移するかは現状を加味する限り予断を許さない。
プラスもマイナスもそもそもはスカラーに方向を与えたものなのだけど、心身の状態はプラスやマイナスそのものではなくて、ある初期値にそれらプラスやマイナスを加えた時の位置であって、するとその位置の目盛りというのは「ある初期値」の取り方で決まることになる。
つまり時間(横)と心身状態(縦)の二元座標軸を考えた時、状態はとりあえず今なわけだから縦軸を左右にずらすことはできなくとも(と単純に考えておくけど、こだわり出すとなかなか面白そうではある)、横軸を上下に移動させることは実は簡単なのだ。
前に経済学の新書を読んで「サンクコスト」という用語が頭に残っているのだけど、これは確かsunk (沈むsinkの過去分詞形) costで「回収不能の元手」とかそんな意味だったはず(あ、思い出した「逸失利益」だ)で、これを僕に覚えさせた印象に残る例というのが「食べ放題のお店で支払う前金がサンクコストにあたる」という高校〜大学時代に数え切れぬ不毛な挑戦と後悔を残した自分の経験の身に染みる(切り傷にレモン汁を垂らすような)もので、つまり「原価の高いもん食って元取ったる!」という貧乏症の自分には避けられない勝負に勝とうが負けようが敗北していた若かりし頃が懐かしい。
あるいは「若さを満喫していた時期がちゃんとあった」という思い出だけが残る今となってはプラスが残っているという考え方もできるがそんなことはどうでもよくて(というか貧乏性エネルギィの有効な使い途が他にあったと考え始めるとそのプラスも吹っ飛ぶのだが)、話を戻せばサンクコストなる概念は(経済学で使われる時よりも)ここでは自由に使えることが言いたかった。

で、自分の状態の基準をずらすのは「言うは横山やすし」というけれど(あれ、言わない?)それは「昨日の自分と今日の自分は同じ自分」と思ってるような人にとっては難しいという意味であって、しかし社会人であってそうでない人なんていないはずはなくて(例が極端なんだな)、そこで「人間の細胞は3日間くらいで全部入れ替わる」みたいな生物学的事実をメタファーとして援用して感覚を少し「そっち」に傾ける、というようなことが実際効果的だったりする。
そして後で戻ってこないといけないので「身体を傾ける」だけで「軸足は動かさない」という。

話を一番始めに戻せば、苦痛がある時にその根源を除去しようとしないのは端的に「それができればやっとるわ」ですね。
だからまず本質から逸れるところからスタートするのは常道で、しかしそれが「複雑さをなんとかやりくりする」か「泥沼で喘ぐ」ことになるかの分かれ道が厳然とあって、進むべき方向を過たない秘訣は「比重からして泥沼でも人体は浮く」という認識でしょうね。
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