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幸福も過ぎ去るが、苦しみもまた過ぎ去る。
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 というわけで、この2日ほどは、架空の建築の平面図を描いて遊んでいます(…)1階はガレージと工作室のみ。その他は、レイアウトルームとかコレクション・ギャラリィとかがあって、2階から4階まで吹抜けの中庭。その上にブリッジが架かっていて、ここも将来は線路が通りますね。5階のペントハウスは防音のプレィルームです。はは、夢っていうのは、こうして具体的に見るのがコツなんです(笑)。ビジョンが具体化できない曖昧な夢は、絶対に叶いません
森博嗣『ウェブ日記レプリカの使途』p.20
「おもえばいたる」タグはそういえばこのような思想に基づいた記事を書くつもりで、発端は内田樹氏の「夢(想像)はそれが具体的で細微であるほど既視感をもたらす」という話だったのだけど、自分の夢をいろいろ思い描くうちに「自分の今の生活が否定されるのはやだな」という意識が生まれたのか、具体的にするはずだった想像がだんだん曖昧になっていった記憶がある。
自分の理想像があって、自分の現状がその理想に見劣りすることは当然あって、しかしこのことを「下積み」ととるか「現状の否定」ととるかは自分が現状をどう思っているかによる。
自分の現在の生活が、ちゃんと理想に向かう進路上にあると思っていれば、つまり理想像を実現するために必要不可欠な過程に今いるという認識があれば、現状の不満は理想へ向かう力となる。
しかしそうではなく、自分の現状は理想像と全くかけ離れていて、何か「棚ぼた」的な出来事を期待しているような、つまり現状維持にかまけて理想を実現するための主体的な行動を取っていない(取る気がない)のであれば、現状を理想と比較した時にそれは現状を否定することにしかつながらない。
そして後者の場合に、現状と比較する理想像はそれが曖昧であるほどダメージが少ない(現状をあまり否定しない)ということになる。

夢が曖昧になる理由はだいたいこのようなものだ。
ここで自分はどうしたいのかという話になるが、
僕は具体的な夢を持ちたいけど、それに向けて真っすぐ進もうとは思っていない。
「何をしたいか」ではなく「どうありたいか」を理想像の軸としたい、とずっと考えていて、しかしこの方針は理想像が曖昧になりがちである。
曖昧になること自体は原理的なもので、なぜかといえば状態を微分したものが行動だからである。
言い換えると、行動の志向はその行動一つを実行することに限定されるが、状態の志向はその状態を満たすための数多の行動を経るのである。
だから、僕がしなければならないのは、「曖昧」の意味を変えることである。
夢や理想像が具体的でなく漠然としている、ぼやけていることを曖昧と通常は言う。
しかし僕が理想の「状態」を志向する時の曖昧さとは、その理想像の一つひとつは具体的に想像するのだけれど、その想像の数をどんどん増やして、しかも「一つこれが最善だ」と定めたりはしないということだ。
だから、一つの夢を具体的に思い描く時、もちろんそれは自分が望むものだから「いいなあ」と自分に羨望の思いを抱かせるが、ある時点でそれを念頭から引き離す。
引き離すとは、想像の余韻だけ残して具体的な内容を忘れてしまうか、あるいは意識上はきれいさっぱり何も残さないのが良いのかもしれない。
ただその時は、後で復元できるように文章に残しておくのがよい。
いずれにせよ、僕が「夢を形にする」ことは理想像を文章化することに他ならない。

+*+*+*

というここまでは前置きで、さらに別の前置きが続く。
上に書いたように、曖昧さを取っ払いたいと思った。
ここで言うのは、個々の夢の曖昧さのことだ。
そしてそのために、正直に書こうと思った。
今の自分の状況とかけ離れたことでも、ポジティブなことを書けば、今の状況に対してその夢はポジティブにはたらくはずだ。
そして、このポジティブを大事にするために、「現状と夢がかけ離れていること」についても考えねばと思った。
つまり、と言いつつ飛躍するけれど、なぜ「かけ離れている」と思うのかというと、それはあんまり深く考えていないからなのだ。
簡単に言えば、「状態」は表面状態だけではないということ。(?)

具体例を書いた方が早い。
実は会社での部署異動を記念してこのブログをちょこちょこ変更している。
(これはついでだけれど、コメント受付をこれまで不可にしていたのはそれだけ内向きになっていたからで、今後文章がポジティブになっていくことを望むがあんまり変わらないかもしれないけれど、コメント可にするということは読み手の印象や気付きを言語化してもらうことを期待しているということなので、読みにくいとは思うけれど何か思い付かれれば何でもよいのでどうぞ自由にご記入下さい。)
その一つ、タイトル下の一言コメントを変えてみた。
「夢はいつも、プー太郎。」というやつです。
プー太郎が夢というのは保坂和志の小説に影響を受けていることは間違いないのだが、これは厳密には「職がない状態」ではなくて自由人であるということ。

いい例が『季節の記憶』の松井さんで、地元で「なんでも屋さん」をしている彼はいちおう仕事をしているということになるのだろうけれど、自営業と言うほど固いというか確立されてはいない印象がある(いや言葉上は自営業と言って間違いでないけれど、その表現に収まり切らない自由さが松井さんにはある)。
それで、単にプー太郎になりたいのならすぐに仕事を辞めればいいのだが、もちろんそんなことはしない。
保坂氏は小説家になるまでに百貨店で働いていたらしいけれど、それはすぐに専業になる気はなかったということで、詳しいことは知らないけれどその都度の氏の選択の結果だと思う。
松井さんだって、サラリーマンだった時代があるのかもしれない。
何が言いたいのかというと、つまりは「どっちでもいい」のだ。

僕はついこの前に会社を辞めかけたけど結局は続けることにして今は新しい仕事を覚え始めた段階だけど、この新しい仕事をずっと続けるかどうかは分からない。
社内の状況を気にせず自分の希望を通した手前、これからすぐに仕事を辞めることは人として少し憚られるけれど、それは「すぐに辞めない理由の一つ」でしかない。
辞めたいと思えばすぐにでも辞めるのだろうし、そう思うということはその選択に未練なんか残らないのである。
では今の職場に腰掛けでいるつもりかといえばそんなこともなくて、すなわち常に辞められる準備を整えているというわけでもない。
(とはいえ今回の異動で個人プレーの部署に移ったので事実辞めやすくなったが)
社内で自分の立ち位置に応じて必要とされる分は働くし、頑張りたいと思えばオーバーワークも厭わないだろう。
ただ一つ言いたいのは身軽でいたいということで、ちゃんと言えば「仕事を続けても辞めてもどっちでもいい状態」を維持しておきたいということ。
それを腰掛けと言うのだ、と言われてもうまく反論できないけれど、あるいはこの状態だと自分の仕事に本気でかかれないのかもしれない。
それが会社にとって良くないか、自分がその中途半端さに納得できなければ、辞めることになるだろう。
しかし思うに、会社で仕事に没頭している間は「この仕事を途中で放り出すなんて考えられない!」と思うことは当然あってよいと思うけれど、その思いを家に帰ってからも引きずるのはイヤなのだ。
とするとその切り替えができない人のことを会社人間と呼ぶのかもしれない。
別に会社人間を否定するわけじゃないしそういう人が一定数いないと会社が成り立たないのかもしれなくて、単に自分はそうなりたくはないというだけだ。
…あんまり断定するとちょっと不安になるけれど、そして微妙なというかよく分からないので実感なき想像で書くけれど、家族ができればこの考え方は変わるのかもしれない。
そして家族をもつこと自体は良いことだと思っているので、自分が今否定した考え方とはうっすら繋がっているとも言える。

どんどん話がそれたけれど、言いたかったのは「状態の志向は行動を限定するものではない」ということだ。
ただ「状態の志向」そのものはとても曖昧なものだから、油断して日々の行動に引きずられるといつの間にか「自分は今なぜこれをしているのかが分からない」ということにもなる。
だから日々考えておきたいし、そう話を戻せば「具体的な理想像」を日頃から蓄えておきたいと思ったのだった。
そして「おもえばいたる」タグを仕切り直しで本腰入れて充実させようかと思って、第1弾として(自分が住みたいと思っている)「縁側のある家」について書こうと最初に思っていたところまでやっと戻ってきたのだけれど、どうも前置きが長過ぎた。
これじゃ前と変わらない…というのもイヤなので、宣言を一つ。

今は『もう一つの季節』を読んでいるけれど、このまま未読の保坂小説を読み終えたら既読のものを何度も読み返そう。
自分の理想像の一つは、明らかに一群の保坂小説によって形作られている。
一読目は雰囲気を楽しむ(+哲学的な思考を楽しむ)だけだったが、自分の夢を具体化するという意思のもとで再読してみよう。
なんか表現がかたいかな…読み方のイメージとしては「登場人物になりきる」といった感じだろうか。

まず何より、上で正直にと書いた通り、「僕は保坂小説のような生活を理想的と思っている」ことを自分の中で明確にすることだな。
そしてその思いは「その理想像と今の社会人生活がちゃんと繋がっている」ことを意識できれば確固としたものになる。
考えることは沢山あるけれど、ゆっくり着実にいこう。
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