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幸福も過ぎ去るが、苦しみもまた過ぎ去る。
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「要領の良さ」とはなにか。

だいたいのサラリーマンなら日々の仕事はやる内容があらかじめ決まっていて(「どうやるか」を自分で考えることはあっても「何をやるか」をいちから自分で決めなければならない人は少数だろう)、ある程度仕事に慣れれば、仕事内容が自分の理解を超えていても誰に頼ればよいかは分かるものである。
分業が進むほど「自分の仕事(専門)領域」と同僚のそれが明確に分かれ、発生した一単位の仕事を主導する人を選ぶことが明確にできる。
また分業体制を円滑に進める立ち位置の仕事であれば、その人の専門領域は「頼る人の選び方とその頼り方」であり、傍目には器用貧乏というか「多分野に中途半端に片足突っ込んだ半分素人」に見えて転職のアピール材料になりにくい…という話はどうでもいいのだが、組織運営上の必要性からいえば「狭く深くの人」も「浅く広くの人」も同格である。
なんにせよ、組織(もっと実際的には自分の所属部署)の抱える仕事と自分の立ち位置が分かっていれば、頭だけで要領の良い仕事はできる。(営業とか接客業はまた違うのかもしれない)
人間関係をこれと同じように考える場合、それは「仕事上の人間関係」に限定されることになる。
会社の中では人々は仕事を円滑に進めるという同じ目的を共有しており、建前として身体は脳に従属する。
だから「仕事上の人間関係」も基本的には頭だけで要領良くこなすことができる。
「頭だけで」というのは「ああすればこうなる」の想定とその(言ってしまえば確認的な)実行の流れのことで、極端な言い方をすればこの想定と実行の間に齟齬があったとすれば原因は「身体が邪魔をした」ことにある。

といった話は建前論で、実際は仕事においても(自分および他者の)身体性への配慮は欠かせないし、上記の建前を貫く人間は一つの理には適っていようとも組織の歩みを乱し仕事の効率を下げることになる。
そういう人間が僕のそばにいて一緒に仕事をするたびにこちらが負のオーラを浴びて大層迷惑している、という鬱憤をそういえば発散してなくて今ここに愚痴みたいに書いてしまったが、つまり最初に書きたかったことはもちろんこれではない。

「要領の良さ」というのは、「頭だけ」という枠を設定すれば話は簡単で、上に書いた「ああすればこうなる」の想定と実行結果の齟齬を小さくできる能力のことである。
じっさいは「頭だけ」ではないから、最初の想定は同じようにあっても身体という不確定要素を考慮に入れる余裕もそこに繰り込んであって、いつも思い通りにはいかなくともまあまあの出来は常にキープできるといった意味になる。
だから要領の良い仕事のできる人は仕事上の不安が(ほとんど)ない。
不安がないということは余計な気を回さなくてよく、気分良く過ごせるということだ。
そして、穿った見方に思われるだろうが、これらのこと(不安がない、余計なことを考えない、気分が良い)は全て、「今自分のいる枠組みを疑わない機制」に寄与している。

ここから話が一般的(多数派的)でなくなってくる。
ある組織に所属する人間は、その組織の存続について基本的に疑わないのが正しい。
組織の存続を疑う、つまり「もうすぐこの会社は潰れる」という認識が構成員の多数にあるとすれば、組織人である以前に生活の維持を考えねばならない個人はその会社に見切りをつけて転職先を探すだろうし、そうなれば社内のモチベーションの低下が目に見えて仕事は成り立たなくなるだろう。
組織の維持を考える人間は「その会社を潰さない為に動くべき最低限の数」であればよく、それ以外の人間は会社の発展を第一に仕事に取り組むべきであり、つまりものを積み上げることに専念する人は足場を気にしていてはいけない。

仕事の要領の良い人は組織における自分の立ち位置、すなわち要求されている振る舞い方を理解しており、つまり自分が会社の発展に寄与すべき立場にいれば目先の仕事に邁進するのであり、一般的なニュアンスとしてはその中で「(プライベートな)自分を保つ余裕」を確保できている人である。
一つ前の記事に「ある種の要領の良さを捨てる」と書いたが、これはまず一言で言えば「組織の要求に逆らう」ということを意味する。
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